世界の路上で生まれた奇跡 6,000円とギターと寝袋を持って世界一周-金丸文武-書評
内容
タイトルの通り、日本に帰れるチケット代すら持たず、ギター一本で世界一周をするという無謀な挑戦を見事に果たした著者の旅行記。感想
食事や移動などで必要となるお金は全て路上でギターを弾いて稼ぐ、いわゆる路上パフォーマー。メインの交通手段はヒッチハイクか電車かバス。交通費は当然のごとく路上ギターで稼ぐ。食事は現地の人からご馳走になるか、食費を路上ギターで稼ぐ。著者は冗談では無く本当に命懸けでギターを弾いて旅をしていた。だからこそ、読んでいるだけなのに何かパワーが感じられる。路上パフォーマーにお金を落としてくれる人が多い国もあれば、少ない国もある。前の国では成功したから今回の国でも同じ方法で成功するとは限らない。その国その国の特性に合わせてやり方をシフトしなければ死活問題になる。
読んでいて思うことは、やっぱり人間はみんな一緒でみんな優しいということ。言葉が通じなくても、お金を持っていなくても、困っていれば助けてくれる。そんなハートフルストーリーが本書には数え切れないほどある。
もちろん、身の危険も多々ある。南米でチンピラにiPhoneを盗まれケンカして何とか取返す。服が無くて冬のポーランドで夏の格好で野宿をして死にかける。インドで謎の病気に見舞われ死にかける。etc…
めちゃくちゃ面白いんだけど、一つ残念なことは著者が旅した国の全てが書かれているわけではないこと。元ネタは著者のブログの日記なのだそうだが、その中から一部をピックアップして出来上がったのが本書なので、章が変わると旅をしている国が大きく変わっている所があり、その部分はちょっと読み辛かった。
それでも、そんな読み辛さを忘れさせてくれるほどの面白さが本書にはある。旅行雑誌を読むだけでは絶対に得られない海外の現地の人々の情報が本書には詰まっている。