現代の金融入門-池尾和人-書評
内容
本書の刊行はリーマンショック翌年の2009年。金融論を専攻する大学教授である著者が、金融危機の経験を加味した上で金融というものの本質について説明してくれる内容となっている。感想
経済学やお金に関する書籍はよく読むが、金融そのものに関する本は読んだことないなと思い、評価の良かった本書を読んでみた。本書では、金融の仕組みについて一つ一つ細かく取り上げて、なぜその仕組みが存在するのかについて丁寧に書かれている。例として、金融取引を行う際には「審査」が必ず必要となる理由について紹介する。
金融取引において他者にお金を融通することは、それはお金をあげるのではなく、将来の見返りを約束されて行われる行為である。しかし、受け手側がその約束を履行する能力を持っているかどうかは、そうそう簡単には確かめられない。そのため、「審査」という仕組みが存在している。金融機関あるいは格付け会社や証券取引所からその審査を受け、クリアしたものは、約束を履行する能力があるという信用を得ることができる。逆から見れば、我々個人はお金を融通する先が信用できるかどうかの審査を金融機関等に委託しているとも言える。
本書のタイトルに入門とあるが、教科書的な内容でやや専門的。数式も出てくるので、金融論についてほとんど知らない私としては難しく感じた。金融論についてこれから本気で学びたい、金融業に関わっていてもっと知識を深めたいという人にオススメな一冊。