アマゾンと物流大戦争-角井 亮一-書評
内容
物流に関する多数の著書を持ち、企業に対してコンサルティングや教育を行っている著者が、物流に強みを持つアマゾンを題材に日本の物流の「今」を評価する内容となっている。感想
著者は本書の冒頭で、日本のビジネスパーソンはもっとアマゾンに危機感を覚えるべきだと警鐘を鳴らしている。このブログを読んでくれている人でアマゾンでモノを購入した人は少なくないと思う。今はまだアマゾンは購入販路の一つにしか過ぎないが、もしここからさらに成長しアマゾン一強時代がきたらどうなるのか。まず間違いなく多くの小売店が店をたたむことになるだろう。残念ながら、日本の2015年時点のEC化率はたった4.75%ほどしかなく、アマゾンの伸びしろはまだまだ高いのだ。
アマゾンに関する書籍は多数あるが、本書の特徴は外資系EC企業であるアマゾンの日本におけるビジネス事情が書かれている点だと思う。日本企業である楽天やアスクルなどを引き合いにアマゾンの何がすごいのかを説明してくれている。
また、本家アマゾンの米国における仁義なき戦いについても最新情報が書かれている。アマゾンvsウォルマート、アマゾンvsアップル、アマゾンvsグーグル。どの戦いも反撃に次ぐ反撃で読んでいてとても面白かった。ECはアメリカの方が日本の何倍も進んでいるので、この最新情報は日本の未来予想図を描く上でとても貴重だと思う。
著者は本書のターゲットを一般のビジネスパーソンにおいており、物流に詳しくない人でも読みやすい内容となっている。分量も東京から大阪までの新幹線片道で読み終えられるボリュームであるので、アマゾンに危機感を抱いていないビジネスマンはぜひ手にとってみてほしい。